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2013
01/06
新興国投資 経済成長と投資リターンのギャップ
過去三年バングラデシュ株価指数

こちらは、先にも取り上げた過去三年間のバングラデシュの株価指数のチャートです。
2010.12を天井に株価は半減しており、文字通りバブル崩壊です。

バングラデシュのGDPデータ

こちらに、バングラデシュのGDP等の各種データがありますが、2010年以降も経済成長を続けており、
経済ショックは起きていないように見えます。

投資商品の宣伝文句に高いGDP成長率がありますが、この実例のように高いGDP成長率と株式投資の
パフォーマンスは必ずしも一致しません。より身近な例として、中国は年率8%か、これを超える名目
GDP成長率を維持していますが、上海A株の株価指数は2007年のピークから下落を続けて、現在は
1/3程度となっています。

この不一致の要因の一つに、株価指数と経済の実態とのギャップがあります。

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dban2

こちらは、db x トラッカーズ MSCI バングラデシュ IM トータルリターン・ネット・インデックスETF
という上場投資信託のファクトシートです。同国のMSCI バングラデシュ IM トータルリターン・ネット・
インデックスへの連動を目標に運用され、組み込み株式銘柄は「浮動株調整後の時価総額ベースで上位
99%に含まれる株式のパフォーマンスを測定できるよう設定されています。」とあります。
バングラデシュの株式市場のインデックス = ETFのパフォーマンス と言えるでしょう。

問題なのは、このインデックスがバングラデシュの経済との非連動です。
これは、インデックスのセクター構成配分比率を見れば、一目瞭然です。60%近くを金融セクターが占
めています。
バングラデシュはルクセンブルクやシンガポールのような金融立国? では、ありません。

バングラデシュ経済の概要

データは古いですが、バングラデシュ大使館の公開情報では、実質GDPの割合(産業別・2007年)に
おいて、金融セクターは僅か1.7%。農林水産業と製造業のシェアが大きくなっています。

農業や軽工業は小規模零細資本で、上場企業の介在は小さい。繊維工業は零細資本であるか、H&M
などの外資の直接投資であり、自国企業資本の上場企業はない。時価総額と流動性のある上場企業は
金融業くらいしかないのが、偏りの原因です。

対内直接投資 産業別

こちらに、バングラデシュへの産業別の外国からの直接投資額のデータがあります。株式市場の頂点は
2010.12ですが、2011年からエンジニアリング・建設部門への投資額が急増して、シェアは93.1%。
ビルなどの建設費用の調達(ファイナンス)に金融業が駆り出されます。投資拡大の2010年の期待で
買われて、2011年以降の事実で売られています。また、本来の同国の機関産業である農林水産業や
各種製造業への投資額はほとんど伸びていない事実にも注目です。

これは、私が危惧している「ファスト新興国」の一例です。バングラデシュはH&MやGAPなどファスト
ファッションブランドの製造拠点となっています。低開発国は軽工業や農林水産業など労働力集約産業
から段階を踏んで経済成長をすべきであり、これらは国民に雇用と賃金をもたらします。しかし、投資
は工場などを除く、ビルなど不動産投資と金融に偏っています。バングラデシュのようなフロンティア
国でも投資資金が集まり、日本人が日本語での投資が可能になり、オフィスビルや高級レジデンスが
立ち並び、ショッピングモールでは、欧米の高級ブランドが売られる。このように生まれた新興国が
「ファスト新興国」です。

ファストフードの食べ過ぎと同様に、ファスト新興国は、将来の経済成長に悪影響があります。


ベトナム田園調布


ファスト新興国の先輩格のベトナムの実例です。株式投資でも同国の経済運営でも国民生活でも、失敗
事例となっています。2012年のデータで一人当たりのGDPが1500USD、日本の1/30ほどのベトナム
が、10億USDの建築費で高級オフィス・ショッピングモール・住宅の複合都市の事業計画があります。
ニュータウン全体ではなく一区画の複合ビルの建築費です。総戸数837戸の同様の複合都市の六本木
ヒルズの総事業費は2700億円、34億USD。両者の建築費と事業費の定義の違いで正確な比較は難しい
ですが、一人当たりのGDPが1/30のベトナムで、六本木ヒルズの1/3の価格の複合都市の開発をする
のは、疑問です。


一昨年、ホーチミンの都心部で外国人向けの旅行会社で働く現地人に話をしたら、子供二人の四人暮
らしで市内は高くて済めないからと、郊外から片道二時間かけてバイクで通勤していました。

ファスト新興国による、金融・不動産への過剰投資は、現地の人が生活や生産活動に利用できない
価格まで不動産が高騰します。ホーチミンの賃料3000円で四人一家が生活していた、古い住宅を
取り壊し、高級マンションを一戸1500万円で売り出す方が、目先のGDPは伸び、金融業の収益も
拡大します。

映画、三丁目の夕日では、東京タワーが見える好立地に自動車整備工場があり、映画の登場人物が住み
込みで働いていました。もしも、投機マネーが流入して自動車工場を地上げして、高級マンションが
立ち並び、オート三輪ではなく高級外車ディーラーが並ぶようになっていたら。日本がファスト新興国
にされていたら。今日の日本の経済発展は無かったでしょう。

幸いにもバングラデシュは、ETF投資をした投資家は含み損に泣いていますが、大きな経済危機もなく、
安定的な経済成長は続いています。現在でもダッカはキレイではない住宅や町工場や商店が溢れており、
このなかに将来の経済成長のエネルギーが蓄積されています。株価変動のタイミングを見込んで、
逆バリ投資のタイミングを狙う戦略もあるでしょう。

まとめ 新興国投資に失敗しないために

煌びやかな高層オフィスや高級ショッピングモールは、経済成長と投資の成果に対して「ネガティブ」
映画の三丁目の夕日を思い出し、キレイではない住宅や町工場や個人商店が経済成長に「ポジティブ」

インデックスのセクター分散割合を確認して、金融・不動産セクターに集中していたら「ネガティブ」












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