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2014
04/18
兵器は語る  陸上自衛隊の水陸機動団はいらない
1404水陸機動

新規導入を予定している、離島部等の奪還における上陸作戦を担う「水陸機動団」。これは、費用対効果の面で導入に反対です。この理由は、評価用として導入された水陸両用強襲輸送車(AAV7)が自ら語っています。

AAV7 の解説 Wikipedia

初期型は1971年から配備され、その後に1985年に改修型が生産されています。現在は韓国でライセンス生産が行われていますが、米国本土では新規生産や配備は終了しています。後継車両のEFVは2011年1月に算削減の方針により開発中止になりました。

1970年代、80年代の古い技術の戦闘車両が現役にあり、後継車両は米軍の予算上の優先順位で開発中止となった現実は、米軍においては必要性があまり高くないと考えられているのでしょう。

水面を船のように浮行する事から、車体は軽量なアルミ製であり、歩兵が携行可能な比較的小型な火器でも破壊されてしまう脆弱な防御。そして、水上航行速度は時速13kmという遅さが、現代戦にはそぐわないでしょう。水上航行時の移動距離は72kmであり、兵員を搭載した時の過重や海況や作戦上の冗長性を加味すれば、進出可能な距離はせいぜい30km〜50km程度でしょう。50kmを平均時速10kmで進出した時の所用時間は5時間。「リゾート地の静かな海面」はともかく、兵員の疲労からも現実的ではありません。

海上から、陸戦・空戦兵力を機動的に投射するという、海兵隊などの必要性を米軍は現在も継承しています。しかし、地上戦用の兵員を投入する手段を、AAV7のような水陸両用の車両ではなく、別の手段へと転換しています。

LCAC
main_lcac.jpg


海上自衛隊も運用しているエアクッション艇。母艦(強襲揚陸艦、ドック艦)に2隻程度を搭載可能。兵員や車両を搭載した時の行動距離は370kmで速度は40ノット(約時速74km)です。安全係数を加味しても、200kmを三時間で進行できるでしょう。搭載可能な兵員(戦闘装備済)は180名。二隻で360名であり24名(25名)搭載できるAAV7の25両分もあります。実際はLCACは高速性で母艦と海岸をピストン輸送する運用が想定されています。母艦から50km離れた海岸まで、往復で100km。兵員や装備の乗船(乗車)下船(下車)と補給の時間を入れても、5時間あれば3回は輸送できます。
(航行距離 250km(二往復半) 航行所用時間3.5時間)

海上自衛隊のドック艦おおすみ級が二隻のLCACで50km離れた海岸に兵員を輸送。5時間で3回輸送した場合
180×2隻×3回=1080名
平均時速10kmのAAV7(24名搭載)で50km離れた海岸に1080名の兵員を輸送するに必要な車両は
1080名/24=45両

AAVは軽武装軽装甲ですが、陸上でも装甲車として運用できる、LCACよりも小部隊を秘匿展開できるなどメリットがあり、単純比較はできませんが、既にLCACを運用している自衛隊に必須の装備とは言い切れません。LCACに兵員と戦闘車両を搭載して上陸する方が短時間で輸送でき兵員の疲労は小さく、より能力の高い戦闘車両を投入できるメリットもあります。高速であり脆弱な上陸時に危険に晒される時間が短くなります。

このLCACでさえ、米海兵隊では運用を縮小する可能性があります。

アメリカ級強襲揚陸艦

佐世保基地を母港とする現在主力のワスプ級の後継艦ですが、航空機の運用を最優先にして、LCACや水陸両用車両の運用に必須のウェルドッグが搭載されない可能性があります。

V-22(海兵隊はMV-22として運用)

兵員輸送の主力として運用するのはオスプレイ(MV-22)でしょう。これまでの回転翼機に比べて、巡航速度や航続距離は二倍以上と向上しています。海兵隊の母艦となる最新型の強襲揚陸艦が従来よりも航空機の運用を優先している事からも、兵員の投入は、母艦が攻撃されるリスクの大きい沿岸からではなく、より遠隔からでしょう。

もう一つの動きとしては、大規模部隊の投入から、小規模の特殊部隊への戦術・戦略の転換です。冷戦構造による大国の正面戦闘から、テロとの戦い、小規模特殊部隊の必要性が高まっています。

バージニア級原子力潜水艦

米海軍が導入する最新型の攻撃型原子力潜水艦ですが、速度、最大潜航深度、搭載魚雷数といった、対潜水艦水上艦戦闘に必要なスペックをダウンした代わりに、特殊部隊を搭載するスペースが新設されています。潜水艦を使った少数の特殊部隊を上陸させるのは、作戦の秘匿性には最も適した手段です。

強襲揚陸艦にしても攻撃型原潜にしても、予算策定、建造、運用は長期的であり、いずれも米軍の兵員上陸に関わる長期的な戦術・戦略を考慮したものになっています。

AAV7の後継車両の開発が中止されたのと符合しており、米軍にとってはこのような車両の運用の優先順位は高くないと結論できます。



自衛隊が島嶼部防衛、奪還作戦で優先順位が高いのは、艦載砲による上陸部隊への艦砲射撃でしょう。弾道、巡航の対地ミサイルは現状の自衛隊は運用していません。開発・導入・運用には外交的な制約があり、実現までは時間も要求します。
それまでの応急策として、対地攻撃を主体とした長射程の榴弾砲弾の導入と護衛艦での運用です。これは、小規模の開発と予算で実現可能であり、早急に予算化すべきだと思います。

長距離艦砲射撃に適した護衛艦の一例 

イージズ艦ではなく(これが最重要)イージス艦に次ぐ統合的な情報処理能力を持ちます。搭載する艦砲はMk 45 5インチ砲であり、米海軍の新鋭艦と共通の装備であり、100km程度の長射程の砲弾を輸入あるいは、共同開発する事が可能です。

既存の榴弾砲弾(地上目標攻撃に適した砲弾)でも30km程度の射程があり、米国から緊急輸入して護衛艦が演習を行うだけで、抑止力を獲得できます。

保守派の中にも日本核武装論がありますが、これは政治的・外交的・予算上での制約が大きく、実現するまでに日本は戦火の中かもしれません。護衛艦への榴弾砲弾の大量導入など、いますぐできる事から確実に実行して、段階的に防衛力を維持する事が必要です。



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