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2013
08/14
サービス業と小売業の給料が安い訳は.......経済論者が見逃した二つの単純な理屈

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経済学と現実社会にいる我々の生き様との接点を明解に解説する、数々の著書で注目を集める、経済学・ビジネス書作家の小暮太一氏。経済学とは一流になれない日本の経済学者が、欧米の先進理論を翻訳して、学生に買わせて、印税と教授という職を維持する「経済活動」に必須な学問........
ではなく、搾取されたり騙されたりしないための理論武装だというのが私の考えであり、生活者の視点で解説された著書は、是非参考にすべきだと考えています。

しかし、ちょっと的外れで肝心な理屈が抜けてしまっている部分があり、私なりの考えで補足してみます。

ずっと「安月給」の人の思考法:給料の「高い会社」と「低い会社」に分かれるワケ
ずっと「安月給」の人の思考法:日本人は、サービスにお金を払わない


給料の高い会社と安い会社がある。特に小売業とサービス業の給料が安い。これを経済学との関係性で、解説しています。

「資本論」との関わりというマクロ経済学上の理屈で、あるいは日本人がサービスにお金を払わないからという社会上の特性、そして技術開発による労働価値の低下という理論などを挙げています。

納得できる部分が多いのですが、私はもっと単純な理屈で説明します。

固有名詞は仮称で、二人の労働者のモデルを用意しました。

①四菱商事の事業部長、現在はアザディスタン王国の原油開発事業で、王国資源省との交渉をしている
②四菱石油傘下のガソリンスタンド「USSO」の正社員従業員

小売業とサービス業の給与が安いのは.......

需要と供給

この世の中で、複雑怪奇な新経済学が次々に生まれていますが、この世の中の経済活動の大半はこの古典的、かつ単純な理屈で説明できます。

①は管理能力、アザディスタン語を含めた交渉能力、石油採掘事業からアザディスタン王国の法体系まで、豊富な知識と経験など、非常に高度かつレアなスキルを持つ人材です。このような人材は労働市場において、供給量は限られています。労働市場で求めるには、年収最低で1000万円+成功報酬など厚遇で迎えるしかありません。更には職安の掲示板や新聞の折り込みチラシで募集をかけても、採用は困難です。専門のヘッドハンティング会社に高額のマージンを支払って、転職を依頼するしかないでしょう。「取引コスト」による制約があります。労働市場での調達が困難ならば、四菱商事の従業員の中で生え抜きを育成する方が合理的になります。

②に必要なスキルは、簡単な試験で取得可能な危険物取扱資格と普通自動車免許。日本語での一般的な交渉能力や社会性でしょう。供給量は数多であり、善し悪しは別として以下の例のような条件で簡単に求人できます。
814ガソリンスタンド
取引コストも、新聞の折り込みチラシや職安などで、ほとんどかかりません。

供給が豊富で、必要な時に必要な量を労働市場でいつでも補充できる人材は、非常に安価になります。生え抜きを育てる動機も薄くなります。つまり、労働条件は見劣りする結果になります。

二つ目の理屈は、限界付加価値創造量の違いです。

①はアザディスタン王国側との一年間の交渉で、可採埋蔵量は100億バーレル、生産量日量100万バーレルの巨大油田の30年間の権益の100%を取得できたとします。交渉に費やしたのは一年ですが、今後30年間に渡って、毎日100万バーレルもの原油が生む、売り上げと利益が四菱商事に転がり込みます。
これは、①が今後はクルジス共和国の超重質油の改質プロジェクトに赴任したり、退職してプーケットの高級コンドミニアムで永遠のリゾート生活を始めても変わりありません。

②は環状八号線沿いの繁盛している「USSO」のスタンドで、一日530台に平均30リットルの給油をするという、一分間に約一台給油する超過密労働をした場合。給油したガソリンは15900リットル。バーレルに直すと100バーレルです。原油採掘とガソリン販売の粗利益率は異なりますが、乱暴に計算すると、①の仕事の成果で生み出す、一日あたり100万バーレルの原油と同じ容積の100万バーレルのガソリンを給油するには、1万日(27年以上)もかかります。実際にこんな混雑したスタンドはありませんし、休日なども考えれば、ガソリンスタンド店員人生を全うしても、100万バーレルを給油するのは困難でしょう。

これが、限界付加価値創造量です。

AppleというブランドとiPhoneのプロダクトデザインを創造したスティーブジョブスは、退職されて現在は天国で永々のリゾートライフを楽しんでいても、iPhoneは売れ続けています。2012年中にiPhoneの全世界の累計売り上げ台数は3億台を超えました。SoftBankショップの店員が一日に販売できるiPhoneは何台くらいでしょうか?

GS(ガソリンスタンド)の店員一人あたりの売り上げは、多くてもせいぜい数十万円でしょう。10%の粗利益を獲得しても、数万円の粗利益です。

同じGSでもゴールドマンサックスのトレーダーは、一人で一日に数千億円のトレードを行うでしょうか。薄利の裁定取引で0.1%の利幅を獲得すると、数億円の粗利を獲得できます。


一般的に小売業やサービス業の店員は、限界付加価値創造量は小さくなります。これは、売り上げをもたらす機会は、対面しているお客様のサイフ(商用の例外はあるが、その多くは家計のサイフ)しかないからです。特に激務で薄給だとされる介護サービスの従業員は、例えば一時間一人のお客様につきっきりで働いても、一つの家計のサイフからしか、売り上げを得る事ができません。

また、小売業・サービス業・工場でのライン生産など、労働力集約型の仕事の場合は労働力投入量に付加価値創造量が比例します。GS(ガソリンスタンド)でガソリンを1000リットル売るには、100リットルの10倍の台数のクルマに給油する。10倍労働する必要があります。
GS(ゴールドマンサックス)で1億円のファンドを小金持ちに販売するのと、1000億円のファンドを機関投資家に販売するのも、労働投入量は基本的に同じです。1000倍働かなくても大丈夫です。

①のモデルやゴールドマンサックスのトレーダーのように高給を得るためには

1000億円の債券トレード、日量100万バーレルの原油など、大きなサイフに対して商売をする。
Appleのブランド創造や石油採掘利権など、働いていない時でも付加価値を生み出し続ける仕事をする。

といった選択が必要になります。




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